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熱力学的な死


気温が体温よりも高く、かつ、湿度が100%の場合、人は「熱力学的な死」を迎えることになる。

生理学的な「熱中症」とどのような関係があるかは別にして、純粋に熱力学的に考える。人間は、人間の内部の構造が壊れないようにしているが、これは、熱力学的には「エントロピーを低く保っている」ということに対応する。閉鎖系では、エントロピーは必ず増大するはずであるが、人間がエントロピーを低い状態に保てるのは、エントロピーを人間の外部に捨てているからである。

では、どのようにエントロピーを捨てるのであろうか。自分の温度を環境よりも高い温度に保ち、温度の低い環境に対して熱を捨てるときにエントロピーを捨てることができる。これができなくなると、人間の内部でエントロピーが増大し、内部の構造を保てなくなってくる。

勿論、このような状態が継続的に続いて初めてエントロピーが許容量を越えて死を迎えることになるので、一瞬で死ぬわけではない。しかし、継続的に40度の蒸し風呂に入り続けると死んでしまうことは確かに言える。

暑いときには、暑さを避けること、水分を補給することを心がけましょう。




日付:  2004/7/31
カテゴリ: 気象の豆知識
本記事のURLは: http://www.meteorology.jp/XOOPS/modules/xfsection/article.php?articleid=12